
革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明(革新脳)
霊長類(マーモセット)の高次脳機能を担う神経回路の全容をニューロンレベルで解明することにより、ヒトの精神・神経疾患の克服や情報処理技術の高度化に貢献します。
革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明(革新脳)
霊長類(マーモセット)の高次脳機能を担う神経回路の全容をニューロンレベルで解明することにより、ヒトの精神・神経疾患の克服や情報処理技術の高度化に貢献します。
日本、オーストラリア、中国、韓国、カナダ、ヨーロッパ、アメリカ各国のブレインプロジェクトが協定を結び、神経倫理、データ共有、および脳のプライバシー保護分野等で協力していくとともに、市民、患者等との有意義な対話をもつための取組を進めています。
http://www.internationalbraininitiative.org
健常から疾患に至る脳画像等の総合的解析、AIによる脳科学技術開発、ヒトと非ヒト霊長類動物との神経回路比較研究を推進することで、人間の心を生み出す知性、感性や社会性などのしくみを神経回路レベルで解明し、精神・神経疾患の早期発見、早期介入に導くことを目指します。
https://brainminds-beyond.jp/ja
超高磁場MRIで見る霊長類「全脳」神経回路の多様性―分野横断型の霊長類脳標本画像リポジトリ:ヒト脳と精神・神経疾患の理解を加速する国際研究基盤―
本研究グループは、戦略的国際脳科学研究推進プログラムとジョンズ・ホプキンス医科大学との国際連携により、世界最大級の霊長類脳標本コレクションを対象に、マーモセットからチンパンジーまでの多種多様な霊長類の「全脳」の神経回路を非破壊的かつ高精細に可視化した脳画像を撮像し、霊長類脳標本画像リポジトリを開発しました。本リポジトリは、広範な霊長類の脳情報を提供し、データ駆動型科学を通じてヒトの脳の特性や精神・神経疾患の理解を深めるための重要な資源となっています。本研究成果は「Neuroimage」に招待論文として掲載されました。
脳機能の中核を担うAMPA受容体を「見る」ことで解明 ―てんかん患者の脳機能の調節におけるシナプス可塑性の重要な役割が明らかに―
本研究では、AMPA受容体を可視化するPET用のトレーサーを用いて、AMPA受容体のダイナミクスが、てんかん患者の脳機能を差次的(特性ごとにそれぞれ)に調節することを解明しました。AMPA受容体は脳の働きを支える重要な分子であり、この分子をヒトの生体脳で可視化することで、これまでブラックボックスであった精神・神経疾患の病態解明や、その情報を根拠にした革新的な診断・治療法の開発が進むと考えられています。研究グループが開発したPET用トレーサーを用いた臨床研究により、てんかん発生の生物学的なメカニズムの解明に近づくことができました。 本研究成果は「Cell Reports Medicine」(5月17日オンライン)に掲載されました。
マーモセットの前頭前野結合マップを作成・公開-霊長類特有の神経回路構造にヒント-
本研究では、マーモセット前頭前野(PFC)の系統的な全脳結合マッピングを行い、焦点型と拡散型の2種類の神経投射が、大脳皮質及び線条体それぞれに、トポグラフィックに結合することを見出しました。この新しいリソースは、革新脳データポータルで公開され、霊長類前頭前野の局所及び遠距離の回路結合の理解を深めるものと考えられます。本研究成果は「Neuron」オンライン版(5月16日付)に掲載されました。
血液脳関門開放術による遺伝子治療法の開発―身体を傷つけない脳疾患の治療を目指して―
本研究では、新規に開発したウイルスベクターと経頭蓋集束超音波照射を利用したベクターデリバリー手法により、サルの血液脳関門を物理的かつ一時的に開放して、血管内投与したベクターを脳の目標部位に局所的に導入し、外来遺伝子を発現させることに成功しました。このことは、非侵襲的に脳部位選択的な遺伝子導入を可能にする手法が確立されたことを示しており、今後、パーキンソン病などの神経疾患に対する安全な治療法の開発に寄与することが期待されます。本研究成果は「Science Advances」に掲載されました。
MRIによる霊長類のデジタル脳データベースを開発-オープンサイエンスとして、脳科学の発展に期待-
磁気共鳴画像法(MRI)を用いて、小型霊長類であるコモンマーモセットのデジタル脳データベースを開発し、公開しました。年齢・性別・体格(体重)などの幅広い情報を含んでおり、現時点で世界最大のコモンマーモセット脳の公開データベースです。年齢・性別・体格などの要因が脳に与える影響を理解するのに役立ち、また、オープンサイエンスとして世界中の脳科学コミュニティの発展に貢献し、研究を加速させると考えられます。本研究成果は「Scientific Data」オンライン版(4月27日付)に掲載されました。
統合失調症、うつ病、双極性障害に関連した脳内ネットワーク異常を発見
日本国内3施設(東京大学、京都大学、広島大学)の4つの大規模安静時fMRI画像データセットを用いて、統合失調症、うつ病、双極性障害における7つの脳内大規模ネットワーク間の因果性結合をDCMを用いて評価し、比較することで、大脳辺縁ネットワークにおける自己抑制性の因果性結合が3疾患で共通して減少していることを明らかにしました。これらの発見は精神疾患の病態解明につながる可能性を示唆しています。本研究成果は「Schizophrenia Bulletin」に掲載されました。
革新脳プロジェクト 中核拠点(理化学研究所 脳神経科学研究センター)の村山正宜チームリーダーが令和4年度「中谷賞奨励賞」を受賞しました。「細胞の個性と脳の全体性を捉える広視野高速2光子顕微鏡の実現」による研究成果・業績が高く評価されました。