グループ長
村山 正宜
理化学研究所 脳神経科学研究センター チームリーダー
脳活動データ取得など革新的解析を可能にする技術を開発し、各種データをデータベース化して共有し、研究開発の効率化を目指して他グループや個別重点研究課題の研究を下支えします。
分担課題
1A
革新的顕微鏡開発
村山 正宜
理化学研究所 脳神経科学研究センター 触知覚生理学研究チーム チームリーダー
これまでに脳領域をまたがる神経活動を細胞レベルで観察可能な広視野2光子顕微鏡に開発してきましたが、さらに視野を拡大した極超広視野顕微鏡を開発します。また、個々の細胞活動と共に他の生体シグナルも同時に観察可能なマルチモーダル広視野顕微鏡を開発します。中核拠点や個別重点課題参画機関にこれら顕微鏡を用いた研究支援を行います。
1B
革新的プローブ開発
脳神経活動と脳神経活動に関わる様々な現象を、深く、広く、細かく、速く、長く観察することを可能にする遺伝子コード型のプローブを開発します。光と物質との相互作用に関する研究をもとに、蛍光および生物発光を中心に新しいバイオイメージング技術を提案していきます。非ヒト霊長類動物およびげっ歯類動物への適用を通して、画像データの提供とともにデータベース向上のために必要かつ十分なメタデータの徹底を図ります。また、神経変性疾患に関連して、ヒト患者死後脳標本における構造解析に役立つ蛍光観察技術を開発します。
1C
野生型マーモセットの維持と供給
新美 君枝
理化学研究所 脳神経科学研究センター 動物資源開発支援ユニット ユニットリーダー
野生型マーモセットコロニーを維持し、研究者の要望に応じてマーモセットを供給します。繁殖コロニーの動物を飼育するケージにネットワークカメラを設置することで、ホームケージ内でのマーモセットの自然な行動データを取得・保存します。得られた動画データの解析からマーモセットの体調管理に有用な行動を同定します。
1D
野生型マーモセットの維持と供給
脳神経科学統合プログラムの参画機関や野生型マーモセットの供給スキームに合わせてNCNPの野生型マーモセットコロニーを再構築し、6年間の需要見込みに従って繁殖計画を立案、計画生産を行い、健全な野生型マーモセットを供給します。また、NCNPが独自に開発したマーモセット飼育管理DBシステムを脳神経科学統合プログラム向けに改良し、中核拠点や個別重点課題参画機関への導入・運用支援を行います。
1E
脳画像種間トランスレーショナル技術開発
ヒト・霊長類動物共通のMRI画像技術開発と大規模解析技術の開発をすすめ、脳の生物学的事象の広域・長時間の変化や個体差を鋭敏に可視化する新技術を提案します。霊長類データの収集、高精度解析、種間標準化、データベース化を進め、細胞・遺伝子発現・神経線維トレーサーとの融合する技術開発と種間共通テンプレート・アトラスの構築を国際連携により進めます。また中核拠点・個別課題参画機関のデータの前処置解析・標準化を支援します。
1F
画像解析技術開発
最先端のAI技術を駆使して脳画像データの統合解析を実現します。特に、空間的遺伝子発現データと神経トレーサーデータを統合的に解析するための新たなアルゴリズムを開発します。また、これら画像データをマーモセットとヒトの脳空間上で相互にマッピングするAIツールの開発を行います。
1G
遺伝子/コネクティビティマッピング
下郡 智美
理化学研究所 脳神経科学研究センター 脳発達分子メカニズム研究チーム チームリーダー
人間を含む霊長類の脳は、進化で成長能力と高度な認知機能を獲得し、ネズミなどのげっ歯類の脳とは大きく異なります。霊長類に見られるこれらの特有の脳機能は、種特異的な遺伝子が発現して種特異的神経回路が形成されることにより実現されると考えられます。これらのプロセスを同時に理解するために、マーモセットの脳の構造を空間トランスクリプトミクスと神経トレーサー技術を用いて詳しく調べることで、霊長類特有の脳構造と機能がどのように形成されたのかを明らかにしようとしています。
1H
動物データベースの維持管理
実験系研究室が生成する大量の生データを自動的に処理するシステムを作成し、運用します。このシステムにより、信頼性が高く包括的なマーモセットの脳構造情報を、使いやすい形で広く提供するポータルサイトを、継続的に開発・運用します。さらに、機関間での連携を促進するためにリポジトリサイトを構築・運用します。
1I
種間トランスレーショナルMRI計測技術の開発
福永 雅喜
自然科学研究機構 生理学研究所 特任教授
非侵襲的生体計測法である磁気共鳴画像(MRI)は、臨床、研究を問わず広く応用される生体脳画像化の要素技術です。磁気共鳴法で得られる生体組織の物理的パラメータ(緩和時間、拡散係数、磁化率、磁化移動・化学交換飽和移動など)を駆使し、ヒト、動物計測に応用可能な脳の微細構造検出に有用な新規計測技術の開発をすすめます。
1J
ウィルスベクターの作成支援
ウイルスベクターは、齧歯類や霊長類など様々なモデル動物への遺伝子導入に適用可能な大変優れた実験ツールです。特にアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターやレンチウイルスベクターは、脳構造や脳機能の解析に広く用いられており、また、新たな神経疾患モデル動物の作出にも活用出来る可能性が大いにあります。本研究開発課題では、脳神経科学統合プログラムに携わる研究者からの要望に応じて、AAVベクターやレンチウイルスベクターを作製・提供することにより、本プログラムの円滑な推進に貢献します。
1K
マーモセット行動解析と生成AIモデル開発
下郡 智美
理化学研究所 脳神経科学研究センター 脳発達分子メカニズム研究チーム チームリーダー
生命・医科学分野の研究において、AIを活用する一環として、個体と時間の関係に焦点を当てた基盤モデルを作成します。このために、マーモセットが日常の行動を記録したビデオや音声、CTによる3次元身体構造データ、ゲノムデータを収集し、それらを活用してシステムを構築・運用します。これらのさまざまなデータを活用して機械学習を行い、動物の形や行動の多様性や複雑さを反映した基盤モデルを開発します。