第11回 Computational Neurology Club Seminar
第11回『Computational Neurology Club Seminar』開催のご案内
量子科学技術研究開発機構の平林先生にタウネットワークマッピングについてご発表いただきます。脳統合のプロジェクトとも関係深いですので、是非ご参加ください。
タイトル:タウ・ネットワークマッピングによる病変と症状をつなぐ回路の同定と霊長類モデルの遺伝学的回路操作による因果性検証
講演者:平林 敏行(量子科学技術研究開発機構)
概要:神経変性疾患において、脳内に蓄積した異常タンパク質を検出する高感度PETプローブの開発により、病変部位を個々の患者レベルで同定できるようになってきた。これによってわかってきたのは、同じ症状を呈する患者間でも病変部位は千差万別で、病変部位と症状の関係が単純には説明できないということである。このギャップを埋めることは病態回路の理解と疾患克服に不可欠だが、決定的な解決法は未だに提示されていない。
近年、タウオパチーと同様に病変部位が多様な脳卒中において、病変部位情報を健常群の大規模な安静時脳機能結合データと組み合わせ、症状発現の障害回路「コア・ネットワーク」を導出するLesion Network Mapping(LNM) が提案され、注目されている。しかし、コア・ネットワーク障害の実在や症状との因果性は示されておらず、病態回路の理解と治療法開発への障壁となっていた。
本講演では、タウオパチー患者群のタウPETデータにLNMを応用するタウ・ネットワークマッピングを開発し、特定症状のコア・ネットワークを同定した我々の研究について、幾つかの具体例を紹介すると共に、霊長類モデルの遺伝学的回路操作 (Hirabayashi et al., Nat. Commun. 2024; Neuron. 2021) でそれらの結果を検証し、患者群へのニューロモジュレーション治療につなげる今後の研究について議論したい。
参加登録等の詳細は下記WEBページよりご確認ください。
https://boatneck-weeder-7b7.notion.site/Computational-Neurology-a945537f7cb54db3b20fa9c4e65c1e72