参画期間:
FY2025-FY2029
代表者

加藤 隆弘
北海道大学 大学院医学研究院 教授
精神疾患は、個人の生まれ持った特性(トレイト)と、ストレスや環境変化によって生じる一時的な心理状態(ステイト)の複雑な相互作用によって発症・進行すると考えられていますが、両者の関係性やステイトの変遷を駆動する分子基盤は未だ明らかになっていません。本研究では、患者由来のiPS細胞から分化させた神経細胞およびミクログリア様細胞を用いた共培養実験、さらにはマルチオミクス解析、脳画像データ、行動計測など多様な階層のデータを統合し、精神疾患に共通する「状態(ステイト)」の実体を多面的に捉えることを目指しています。特に本研究では、これまで分類されてこなかったステイトの構造化、ならびにそれらの遷移を駆動する生物学的・心理学的因子の抽出をする独自の機械学習法の開発を行います。こうした研究により、疾患の進行予測に資する新たなバイオマーカーの同定を可能とし、精神疾患の病態理解が進むことが期待されます。