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腹側被蓋野(VTA)と黒質(SN)はドーパミン起始領域であり、さまざまな脳機能と関連している。本研究では、アジア人種に適したVTAとSNの解剖学的MRIテンプレートを作成し、これらを既存のテンプレートと比較した。さらにMR解剖画像と安静時脳機能画像を用いて、アジア人種テンプレートの妥当性を示した。
プレスリリース 精神疾患治療法開発への応用に期待!―個々の神経細胞の動き方を対象とした新しいアプローチ法―
名古屋大学の尾崎紀夫教授、慶應義塾大学の岡野栄之教授らの研究グループは、統合失調症患者で確認されたリーリン遺伝子の変異(バリアント)が、脳の形態形成で重要とされている神経細胞の移動において、移動方向の安定性に影響することを明らかにした。当該リーリン遺伝子バリアントを起点としたiPS細胞由来神経細胞を用いた本研究成果は、精神疾患の分子病態理解や治療法開発につながると期待される。
著者:
Arioka Y, Shishido E, Kubo H, Kushima I, Yoshimi A, Kimura H, Ishizuka K, Aleksic B, Maeda T, Ishikawa M, Kuzumaki N, Okano H, Mori D, Ozaki N: Single-cell trajectory analysis of human homogenous neurons carrying a rare RELN variant. Transl Psychiatry 8 (1):129, 2018
プレスリリース 統合失調症の労働状態の推定法の開発―病前からの認知機能低下の推定値による確率モデルの有用性―
統合失調症患者の病前からの認知機能低下※1の推定値が、労働状態と関連することを示した。病前からの認知機能低下の推定値などの関連する要因により、労働状態を確率的に推定する方法を提示した。労働状態の推定結果の適切なフィードバックは、統合失調症患者の社会復帰の促進に役立つと考えられる。
プレスリリース 脳内タウ蓄積がアルツハイマー病患者の意欲低下を引き起こす
アルツハイマー病患者では眼窩前頭皮質に蓄積しているタウが多い患者ほど、同部位の神経細胞死や、その部位と他の脳部位を結ぶ線維の障害が重度で、意欲低下も重度であることを明らかにしました。本成果はタウの脳内蓄積を抑えることで、同疾患における認知機能障害のみならず、意欲低下の治療や予防もできる可能性を示唆するものです。
プレスリリース 8Kスーパーハイビジョンカメラによって生きたマウスの脳活動を大規模に計測することに成功
研究チームは、内視鏡手術など医療分野への応用も期待されている8Kスーパーハイビジョンカメラをスピニングディスク共焦点顕微鏡と組み合わせることで、マウス大脳皮質に投射する神経細胞の軸索シナプスの活動を従来の2光子顕微鏡の25倍広い視野で2倍高速で撮影し、1mm以上離れた軸索シナプスの同期活動を計測することに成功しました。
ORIGINAL ARTICLE Abe, H. et al.
CRMP2‑binding compound, edonerpic maleate, accelerates motor function recovery from brain damage. Science 360, 50–57 (2018)
プレスリリース A spherical aberration-free microscopy system for live brain imaging
理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター細胞機能探索技術開発チームの宮脇敦史チームリーダーとオリンパス株式会社イメージングシステムの開発チームは、深部微細構造を鮮明かつ定量的にイメージングする自動球面収差補正システムを共同開発しました。
本研究成果は、Biochemical and Biophysical Research Communications, Volume 500, Issue 2に掲載されました。
プレスリリース CRMP2-binding compound, edonerpic maleate, accelerates motor function recovery from brain damage
脳卒中は深刻な麻痺を引き起こすが、リハビリテーションの薬剤介入は限られている。リハビリテーションによる回復過程は可塑的な現象であり、AMPA受容体のシナプスへの移行はその分子基盤である。我々はAMPA受容体シナプス移行を促進する化合物としてedonerpic maleateを特定した。この化合物は脳損傷後の機能回復をトレーニング依存的に劇的に促進させる。
プレスリリース 脳の深部を非侵襲的に観察できる人工生物発光システムAkaBLI―霊長類動物にも適用可能、高次脳機能のリアルタイム可視化への応用―
理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター細胞機能探索技術開発チームの宮脇敦史チームリーダー(光量子工学研究領域生命光学技術研究チーム チームリーダー)と岩野智基礎科学特別研究員らの共同研究グループは、ホタルが産生する化合物(基質)とタンパク質(酵素)をベースに新規の人工生物発光システムAkaBLIを開発し、生きた動物個体深部からのシグナル検出能を飛躍的に向上させました。
本研究成果は、米国の科学雑誌『Science』(2月22日付け:日本時間2月23日)に掲載されました。
プレスリリース アルツハイマー病と前頭側頭葉変性症の共通病態を発見―新たなシグナルを標的とする早期治療法の開発にむけて―
東京医科歯科大学・難治疾患研究所/脳統合機能研究センター・神経病理学分野の岡澤均教授の研究グループは、新規に作成した前頭側頭葉変性症(注1)のモデルマウスを用いて、アルツハイマー病に次ぐ認知症の原因である前頭側頭葉変性症において病態早期に生じるタウタンパク質リン酸化が、シナプス障害を通じて認知症状を引き起こしていることを明らかにしました。
本研究成果は、国際科学誌Nature Communications(ネイチャー・コミュニケーションズ)に、2018年1月30日午前10時(英国時間)にオンライン版で発表されました。
プレスリリース 統合失調症における社会機能障害への大脳皮質下領域の関与を発見
東京大学大学院医学系研究科精神医学分野の越山太輔大学院生、笠井清登教授、大阪大学大学院連合小児発達学研究科の橋本亮太准教授らの研究グループは、磁気共鳴画像法(MRI, 注3)を用いた研究により、統合失調症において、大脳皮質下領域に存在する視床の体積が健常者に比べて小さいという既知の報告を再現するとともに、統合失調症の社会機能障害に、大脳皮質下領域における神経回路のかなめである視床の体積異常が関与することを新たに見出しました。
本研究成果は、Scientific Reports(オンライン版:1月19日)に掲載されました。
キャンベラで開催された世界主要脳プロジェクト代表者会議に革新脳より岡部繁男プログラムスーパーバイザー、岡野栄之プロジェクトリーダーが参加し、国際ブレイン・イニシアティブを推進することが宣言されました。 IBI Media Release
Current Opinion in NeurobiologyでBrain/MINDSについての総説が発表されました
プレスリリース 「社会のルールの変化」に関わる脳機能ネットワークの一端を解明
玉川大学脳科学研究所の松元健二教授と蓬田幸人特別研究員らの研究グループは、人々の意識が変わることで「社会のルール」が変化することに関わる脳内ネットワークの働きを、脳機能イメージング法を用いた実験により世界で初めて明らかにしました。本研究成果は、2017年11月24日(金)午後7時(日本時間)に英国の科学雑誌“Scientific Reports”に掲載されました。
プレスリリース 細胞周期の間期(G1・S・G2)を3色で識別する技術の開発 -細胞周期可視化技術Fucciの多様化で再生医療などに貢献-
理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター細胞機能探索技術開発チームの宮脇敦史チームリーダーと阪上(沢野)朝子研究員らの共同研究グループは、細胞周期をより細かく色分けする新しい蛍光プローブ「Fucci(CA)」を開発しました。本研究成果は、米国の科学雑誌「Molecular Cell」(2017年11月2日号)の掲載に先立ち、オンライン版(10月26日付:日本時間10月27日)に掲載されました。
プレスリリース 統合失調症に関連する遺伝子変異を22q11.2欠失領域のRTN4R遺伝子に世界で初めて同定
名古屋大学大学院医学系研究科精神医学講座の尾崎紀夫教授、Aleksic Branko准教授、木村大樹助教らの研究グループは、大阪大学大学院医学系研究科/生命機能研究科の山下俊英教授、同蛋白質研究所の中村春木教授らの研究グループとの共同により、統合失調症発症の最大のリスクである 22q11.2欠失領域に存在するReticulon 4 receptor(RTN4R)遺伝子内に、統合失調症病態に強い関連を示すアミノ酸配列変異(RTN4R-R292H)が存在することを、世界で初めて同定しました。
本研究成果は、英国オンライン科学雑誌「Translational Psychiatry」(2017年8月22日付の電子版)に掲載されました。
プレスリリース 発達期小脳において、脳由来神経栄養因子 (BDNF) は シナプスを積極的に弱め除去する「刈り込み因子」としてはたらく
東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻神経生理学分野の秋明貞研究員と狩野方伸教授らの研究グループは、発達期の小脳において、脳由来神経栄養因子(BDNF)がシナプス刈り込みを促進することを発見しました。
本研究成果は、8月4日(金)に「Nature Communications」オンライン版に掲載されました。
プレスリリース 脳全体を高速・精細に観察できる新技術を開発 -脳疾患の機構と創薬研究に貢献-
大阪大学大学院薬学研究科の橋本 均 教授、笠井 淳司 助教、未来戦略機構の勢力 薫 特任助教(薬学研究科招へい教員)らの研究グループは、脳の細胞や神経繊維レベルの微細な構造を識別できる分解能で、マウスや非ヒト霊長類の脳全体を高速 に観察できるイメージング装置(FAST, block-face serial microscopy tomographyと命名)を開発することに成功しました。
本研究成果は、神経科学分野において権威ある米国科学誌「Neuron」の電子版に6月21日(水)(米国東部時間12時、日本時間、翌6月22日(木) 午前1時)に掲載されました。
プレスリリース 統合失調症におけるグルタミン酸系神経伝達異常の一端を解明
東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻の笠井清登教授、千葉大学社会精神保健教育研究センターの橋本謙二教授らの研究グループは、統合失調症を 主とする初発精神病群において、NMDA受容体機能を反映するMMNが有意に小さく、血漿グルタミン酸濃度が有意に高いことを見出しました。また、血漿グ ルタミン酸濃度が高いほどMMNが小さいという有意な相関を世界で初めて報告しました。
本研究成果は、初発精神病の一群において、NMDA受容体機能低下などのグルタミン酸系神経伝達の変化を示唆するものであり、統合失調症を主とする精神病性障害の病態解明の一助となることが期待されます。
本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」および日本学術振興会・科学研究費 補助金の助成により行われ、国際的な学術誌Scientific Reports(オンライン版)にて日本時間5月23日(火)に掲載されました。
Brain/MINDS Data Portal を開設いたしました
プレスリリース 統合失調症研究に新たな視点 -マウス成熟個体において認知機能を回復させることに成功-
理化学研究所 脳科学総合研究センター行動遺伝学技術開発チームの糸原重美チームリーダー、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)の林悠准教授、東京大学大学院農学生命科学研究科の桑原正貴教授、安田光佑大学院生らの共同研究グループは、新たな機序に基づく「統合失調症モデルマウス」の開発に成功し、このマウスの成熟個体に遺伝子治療を行うと、統合失調症に類似した症状が回復することを発見しました。
本研究は、英国の科学雑誌『Translational Psychiatry』(2月28日付け:日本時間3月1日)に掲載されました。
プレスリリース 世界初!脳の領域間を伝わる信号を一挙に観測できる新手法の開発に成功!脳の通信プロトコルの解読に一歩近づく
玉川大学脳科学研究所(東京都町田市 所長:木村實)の礒村宜和(いそむらよしかず)教授を中心とした、玉川大学・福島県立医科大学・東北大学の共同研究グループは、世界で初めて脳領域間を伝わる信号を一挙に観測できる新手法の開発に成功しました。
本研究成果は、“Cerebral Cortex”(米国の神経科学分野の学術誌 オンライン版)に2017年1月31日(日本時間)に掲載されました。
プレスリリース 脳内にある、やる気のスイッチを発見-意欲障害の治療法探索が可能に-
慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室の田中謙二准教授、三村將教授らは、マウスを用いた実験で意欲障害の原因部位を特定しました。
意欲障害は、認知症や脳血管障害など、多くの神経疾患で見られる病態ですが、その原因については、脳が広範囲に障害を受けたときに起こるということ以外分かっていませんでした。研究グループは、大脳基底核とよばれる脳領域の限られた細胞集団が障害を受けるだけで、意欲が障害されること、この細胞集団が健康でないと意欲を維持できないことを発見しました。
今後は、この意欲障害モデル動物を用いて、これまで治療法が全く分かっていなかった脳損傷後の意欲障害における治療法を探索することが可能になります。
本研究成果は、2017年2月1日にNature Communications(総合科学雑誌)に掲載されました。
プレスリリース 脳内に「やる気」のスイッチ、目で見て操作-霊長類の生体脳で人工受容体を画像化する技術を確立、高次脳機能研究の飛躍的な進展に期待-
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(理事長 平野俊夫)放射線医学総合研究所脳機能イメージング研究部、国立大学法人京都大学霊長類研究所(所長 湯本貴和)、および米国国立精神衛生研究所(NIMH, Director Thomas Insel)の研究グループは、サルの脳内に発現させた人工受容体を生体で画像化する技術を世界で初めて確立するとともに、標的脳部位に人工受容体が発現 していることを確認したサルに、人工受容体に作用する薬剤を全身投与し、価値判断行動を変化させることに成功しました。
この研究成果は「Nature Communications」に掲載されました。
プレスリリース「ドーパミン受容体の機能に新視点」 -ドーパミン受容体D1R・D2R発現抑制の視認知学習機能への影響-
理化学研究所 脳科学総合研究センター 高次脳機能分子解析チームの山森哲雄チームリーダーらの研究グループは、大脳皮質の下にある線条体尾状核のドーパミン受容体D2Rを特異的に発現抑制すると視認知学習機能が低下するが、D1Rを特異的に発現抑制した場合には変化がない事を、マーモセットを用いて明らかにしました。
本研究成果は、英国のオンライン科学雑誌『Scientific Reports』に11月2日付け(日本時間11月2日)に掲載されました。
Neuronで日本のBrain/MINDSについての総説が発表されました
Neuron “Global Neuroscience” で日本のBrain/MINDSについての総説が発表されました。
Neuron, Volume 92, Issue 3, 2 November 2016, Pages 582–590
nature methodsで革新脳が紹介されました
プレスリリース「ハンチントン病の新しい治療薬シーズを発見」-化合物ライブラリーの統合的スクリーニングから意外な結果
東京医科歯科大学・難治疾患研究所/神経病理学分野の岡澤 均教授(脳統合機能研究センター長)の研究グループは、ハンチントン病の化合物ライブラリーの統合的スクリーニングと、そこから得られた治療薬シーズ(ペプチド化合物)の生理作用と構造情報の解析を行い、それらの作用機序を明らかにしました。この研究成果は、国際科学誌Scientific Reports(サイエンティフィック レポーツ)に、2016年9月22日午前10時(英国時間)にオンライン版で発表されました。
プレスリリース うつ病発症に関わる神経伝達機能の異常を発見-うつ病の病態解明に大きな一歩-
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所脳機能イメージング研究部は慶應義塾大学 医学部精神・神経科学教室と共同で、うつ病患者は視床のノルアドレナリン神経伝達機能に異常が生じており、これが注意・覚醒機能の高まりと相関していることを見出しました。
本研究の成果は、米国精神医学雑誌 The American Journal of Psychiatry 2016年9月16日のOnline版に掲載されました。
プレスリリース 「ハンチントン病の新しい治療戦略を開発」-第3の細胞死を標的とする神経変性疾患治療の可能性をひらく-
東京医科歯科大学・難治疾患研究所/神経病理学分野の岡澤 均教授(脳統合機能研究センター長)の研究グループは、新しい細胞死TRIADの細胞内シグナル経路の詳細を明らかにし、神経変性疾患の一つであるハンチントン病の病態下でTRIADが生じていること、TRIADを標的とすることでハンチントン病の治療が可能であることを示しました。その研究成果は、国際科学誌Human Molecular Genetics (ヒューマン モレキュラー ジェネティクス)に、2016年9月13日午前0時(英国時間)にオンライン版で発表されました。
ニュートン別冊で革新脳が紹介されました
岡野PLがnature neuroscienceで革新脳プロジェクトを紹介
プレスリリース アルツハイマー病の新たな抗体治療に道をひらく-アミロイド凝集前の病態シグナルを治療の分子標的に-
東京医科歯科大学・難治疾患研究所/脳統合機能研究センター・神経病理学分野の岡澤均教授の研究グループは、アミロイド凝集前のアルツハイマー病態で、リン酸化の異常変動を示すタンパク質MARCKSを先行研究で同定しましたが、今回の研究では、MARCKSリン酸化の上下のシグナル経路と病態意義を明らかにし、さらにMARCKSリン酸化を誘導する細胞外分子HMGB1を標的とする、新たなアルツハイマー病の抗体治療法を開発しました。
その研究成果は、国際科学誌Scientific Reports(サイエンティフィック レポーツ)に、2016年8月25日(英国時間)にオンライン版で発表されました。
プレスリリース 「達成感」による脳内変化を明らかに-新たな学習法や、精神・神経疾患の治療法の開発につながる成果-
慶應義塾大学先導研究センターの山﨑由美子特任教授(理化学研究所象徴概念発達研究チーム客員研究員兼務)、慶應義塾大学医学部生理学教室の岡野栄之教授、理化学研究所象徴概念発達研究チームの入來篤史チームリーダーらは、霊長類のコモンマーモセット(以下、マーモセット)に道具で餌をとらせる訓練を行った後、デジタル脳構造画像解析技術(VBM)という解析方法を用いて、報酬ややる気に関わる脳部位として知られる側坐核の体積を測定したところ、難易度の高い訓練を達成するほど体積増加が起こることを発見しました。本研究成果は、2016年8月8日(英国時間)発行の科学雑誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。
プレスリリース パーキンソン病発症の鍵を握る「αシヌクレイン」の 生体内により近い状態での構造解析に成功 ~ パーキンソン病の根本治療の手がかりに ~
パーキンソン病発症の鍵を握る「αシヌクレイン」を生体内により近い状態で構造解析することに、大阪大学大学院医学系研究科神経内科学の望月秀樹教授らの研究グループが成功しました。
本研究成果はScientific Reportsの電子版に7月29日(金)19時(日本時間)に公開されました。
プレスリリース 脳内マリファナがてんかんを抑えるしくみを解明
東京大学大学院医学系研究科の狩野方伸教授らの研究グループは脳内マリファナの一種である2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)がてんかんを抑制するメカニズムを明らかにしました。また、2-AGが複数のメカニズムを介して神経細胞への興奮性入力を低下させ、てんかんの症状であるけいれん発作や、てんかんの発症を抑制することを明らかにしました。今後、研究が進むことにより、脳内マリファナの働きを利用した新しい抗てんかん薬の開発につながる可能性があります。
この研究成果は、「Cell Reports」2016年7月21日(米国東部夏時間)オンライン版に掲載されました。
プレスリリース 侵害受容と鎮痛制御においてオレキシン神経の活動が果たす役割―覚醒度によって痛みの感じ方が変化する仕組み―
名古屋大学環境医学研究所 山中章弘教授を中心とする研究グループは、視床下部において、オレキシンと呼ばれる物質を産生する神経(オレキシン神経)の活動が、痛みの制御に関わっていることを明らかにしました。
この研究成果は、平成28年7月7日(日本時間)に米国の専門誌「Scientific Reports」に掲載されますした。
プレスリリース 神経損傷マーカー“神経細胞特異的酵素(NSE)”は炎症があると神経細胞ではなくグリア細胞で産生される
群馬大学医学系研究科・脳神経再生医学分野の平井宏和教授らの研究グループは、脳内で炎症が起こるとグリア細胞(アストロサイト)の中でそれまで眠っていたNeuron-specific enolase (NSE)を作る遺伝子(NSEプロモーター)が働き出しNSEが産生され、神経細胞では逆にNSEを作る遺伝子が抑えられNSEが消失すること、さらにこの変化は炎症が収まると元に戻ることを発見しました。今回の発見は、脳疾患の診断精度の向上や、細胞レベルでの病態の理解に役立つことが期待されます。
本研究成果は、2016年6月13日(月)に「Scientific Reports」オンライン発表されました。
プレスリリース 統合失調症の発症に関与するゲノムコピー数変異の同定と病態メカニズムの解明
名古屋大学大学院医学系研究科の尾崎紀夫教授らの研究グループは、東京都医学総合研究所、大阪大学、新潟大学、富山大学、藤田保健衛生大学、理化学研究所、徳島大学、Chang Gung University(台湾)の研究グループとの共同研究により、統合失調症の発症に強く関与するゲノムコピー数変異を患者全体の約9%と高い頻度で同定し、患者の臨床的特徴および病因の一端を解明しました。
本研究成果は、米国の科学雑誌『Molecular Psychiatry』(2016年5月31日付けの電子版)に掲載されました。
プレスリリース 脳の神経活動の空間パターンは脳血流のパターンに写し取られる―安静時脳活動の詳細な時空間構造を神経発火と脳血流の両面から解明―
九州大学大学院医学研究院・東京大学大学院医学系研究科の大木研一教授らの研究グループは、安静時における脳活動の詳細な時空間構造、更にそれが脳血流に変換される様子を観察することに成功しました。
本研究結果は2016年5月16日(月)午後3時(米国東部時間)に「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」にオンライン発表されました。
プレスリリースてんかん発作時の特徴的な脳波を世界で初めて検出
大阪大学大学院医学系研究科脳神経感覚器外科学の貴島晴彦講師らの研究グループは、てんかんの発作時は、安静時に比べて、脳波に特定のカップリング現象が著明に現れることを世界で初めて検出しました。
本研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」のオンライン版で2016年5月5日(木)18時(日本時間)に公開されました。
Brain/MINDS パンフレット最新版
プレスリリース 微弱な電気刺激が脳を活性化する仕組みを解明 -ノルアドレナリンを介したアストロサイトの活動が鍵-
埼玉大学院理工学研究科 中井淳一教授(兼 脳末梢科学研究センター長)は、理化学研究所 脳科学総合研究センター 神経グリア回路研究チームの毛内拡研究員、平瀬肇チームリーダーらの共同研究グループとして、経頭蓋(けいとうがい)直流電気刺激がマウス脳機能に及ぼす影響とその作用メカニズムを明らかにしました。
この研究成果は、国際科学雑誌『Nature Communications』(3月22日付)に掲載されました。
プレスリリース 脳脊髄の髄鞘再生をMRIで可視化することに成功-多発性硬化症や神経再生医療に新たな「眼」-
慶應義塾大学医学部生理学教室(岡野栄之教授)、整形外科学教室(中村雅也教授)、内科学教室(神経)(鈴木則宏教授)、放射線科学教室(診断科)(陣崎雅弘教授)の合同研究チームは、MRIを用いて脳脊髄の髄鞘の再生を可視化することに成功しました。
本研究成果は、2016年3月2日(米国東部時間)に「The Journal of Neuroscience」オンライン版に掲載されました。
■掲載雑誌: Molecular Neurobiology
■タイトル(日本語・英語)
AAV9ベクターを用いたマーモセット中枢神経系への遺伝子発現の特性
■著者: 松崎泰教、今野歩、向井亮、本多文昭、平戸政史、好本裕平、平井宏和
■概要:
GFP発現AAV9ベクターをマーモセットに2通りの方法(大槽投与と小脳への直接投与)で行い、GFPの発現領域、細胞種及び細胞数を解析しました。
大層投与では中枢神経系に広く発現が見られ、小脳投与では小脳と小脳へ投射している領域に極めて効率的な発現、とくに全プルキンエ細胞の80%に発現が観察されました。
どちらの投与法でも脊髄の運動ニューロンに効率的な発現が見られました。
プレスリリース 代謝型グルタミン酸受容体mGluR1はシナプス刈込みを駆動して小脳神経回路を成熟させる
北海道大学大学院医学研究科・渡辺雅彦教授らの研究グループは、プルキンエ細胞に発現する代謝型グルタミン酸受容体mGluR1が樹状突起近位部からの平行線維シナプスを除去することで,異種入力線維のテリトリーが分離することを明らかにしました。
本研究成果は、2016年2月8日(月)出版の米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」で公開されました。
プレスリリース 統合失調症の大脳皮質下領域の特徴を発見 -淡蒼球の体積に左右差がある-
大阪大学大学院連合小児発達学研究科の橋本亮太准教授、東京大学大学院医学系研究科精神医学分野の岡田直大大学院生、笠井清登教授らの研究グループは、統合失調症において、大脳皮質下領域に存在する大脳基底核のひとつである淡蒼球(たんそうきゅう)の体積が健常者に比べて大きいという既知の報告を再現するとともに、その健常者との差に左側優位の非対称性が存在することを、新たに見出しました。
研究成果は国際的な精神医学雑誌Molecular Psychiatryの電子版に1月19日(火)午前4時(米国東部標準時)に掲載されました。
プレスリリース 新世界ザルのコモン・マーモセットで「ミラーニューロン」を世界で初めて発見
国立精神・神経医療研究センター 微細構造研究部の一戸紀孝部長、鈴木航室長らの研究グループおよび理化学研究所 脳科学総合研究センター 高次脳機能分子解析チームの共同研究により、同じ動作を自分がしても他人がしても活動する「ミラーニューロン」を、新世界ザルのコモン・マーモセット(Callithrix jacchus)の前頭葉下部から世界で初めて見出しました。本研究による、遺伝子の改変可能なマーモセットでの「ミラーニューロン」の発見は、自閉症の原因解明、診断、治療への発展的研究に大きな貢献をすると考えられます。
スイスのオンライン科学誌Frontiers in Neuroscience - Evolutionary Psychology and Neuroscience-にオンライン版で日本時間2015年12月10日15時に掲載されました。
プレスリリース「霊長類の大脳皮質で多細胞活動を長期間・同時計測」
理化学研究所 脳科学総合研究センター 高次脳機能分子解析チームの山森哲雄チームリーダーの研究グループは、テトラサイクリン発現誘導システムと呼ばれる遺伝子発現誘導システムを用いて、蛍光カルシウムセンサー蛋白質の発現を増幅することにしました。その結果、マーモセットの大脳皮質で触覚など体の感覚情報を処理する体性感覚野で、数百個の神経細胞の活動を同時に計測することに成功しました。
国際科学雑誌『Cell Reports』への掲載に先立ち、オンライン版(11月20日付け)に掲載されました。
大阪大学大学院 望月研究グループはA novel histone deacetylase 1 and 2 isoform-specific inhibitor alleviates experimental Parkinson's disease (パーキンソン病モデルにおける新規HDAC-1,2アイソフォーム特異的阻害剤の神経保護効果の検討)を発表いたしました。
成果は、10月8日に国際科学誌「Neurobiology of Aging」電子版に掲載されました。
プレスリリース 「神経伝達物質やインスリン分泌の新しい可視化法開発:分泌速度の謎を解明」
東京大学大学院医学系研究科 附属疾患生命工学センター河西教授の研究グループは蛍光寿命画像法を用いて、超高速開口放出をするシナプス前終末ではSNARE蛋白質が高率に複合化しており、これにより活性化領域が機能的に可視化され、シナプス結合の同定に利用できることを見出しました。
成果は、10月6日に(国際科学誌「Nature Communications」)電子版に掲載されました。
第一回公開シンポジウム「脳と心の時代 認知症等の克服に向けて」2016年2月27日(土)
プレスリリース 「生きた霊長類の脳内で神経細胞の「スパイン」を観察」
理化学研究所 脳科学総合研究センター 高次脳機能分子解析チームの山森哲雄チームリーダーの研究グループは、新世界ザルであるマーモセットの大脳皮質において、2光子顕微鏡を用いてスパインと呼ばれる神経細胞の微細形態を生体内で可視化する手法を開発しました。
成果は、米国の科学雑誌『eNeuro』に掲載されるのに先立ち、オンライン版(8月27日付け:日本時間8月28日)に公開されました。
プレスリリース 「アルツハイマー病の組織病変をズームイン」
理化学研究所 脳科学総合研究センター 細胞機能探索技術開発チームの宮脇敦史チームリーダーの研究グループは、生体組織を抗体や色素で染色し微細構造を保ちながら透明化する新しい技術を確立しました。この技術を使って、アルツハイマー病モデルマウスの加齢脳やアルツハイマー病患者の死後脳におけるアミロイド斑を、異なる空間解像度で定量的に観察することが可能となりました。
国際科学雑誌『Nature Neuroscience』への掲載に先立ち、オンライン版(9月14日付け)に掲載されました。
プレスリリース 「貯蔵された記憶を可視化・消去する新技術を開発―記憶のメカニズム解明に前進」
東京大学大学院医学系研究科 附属疾患生命工学センター河西教授の研究グループは学習・記憶獲得に伴いスパインが新生・増大することに注目し、これらのスパインを特異的に標識し、尚且つ、青色光を照射することで標識されたスパインを小さくするプローブ(記憶プローブ)を開発しました。 この記憶プローブを導入したマウスでは、運動学習によって獲得された記憶が、大脳皮質への青色レーザーの照射で特異的に消去されました。 また、各々の神経細胞における記憶に関わるスパインの数を数えたところ、大脳皮質の比較的少数の細胞に密に形成されていることがわかり、記憶を担う大規模回路の存在が示唆されました。 こうして、スパインが真に記憶素子として使われている様子を可視化し、また操作する新技術を世界に先駆けて確立しました。
成果は、9月9日に国際科学誌「Nature」電子版に掲載されました。
「日本認知科学会サマースクール」で革新脳セッションを行いました
7月31日神戸国際会議場メインホールにおいて、日本神経科学学会との共催シンポジウムを開催いたしました。
大規模な脳プロジェクト「革新脳」についてオープンな成果発表と討議の場を提供いたしました。
400名ほどの来場者で会場は熱気に溢れ、発表後の質問も数多く頂きました。
会場前に置いたパンフレットも全て持ち帰られ、改めて革新脳への強い期待を感じることが出来ました。
【13:30-13:55 4S01-1】
Brain/MINDS:日本におけるブレインマッピング・プロジェクト
山森 哲雄(理化学研究所・脳科学総合研究センター)
現在米国におけるBrain Initiative, 欧州におけるヒューマンブレインプロジェクト(HBP)などを含め全世界的に脳の神経回路全容解明を目指したブレインマッピングプロジェクトへ大きな注目が集められている。我が国では、革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト(Brain Mapping by Integrated Neurotechnologies for Disease Studies (Brain/MINDS))が2014年から開始されている。Brain/MINDSは、遺伝子改変が可能な小型の新世界サルであるコモン・マーモセットを用いるという特徴があり、A) 霊長類の脳構造・機能マップの作成、B) 霊長類の脳構造・機能マップの作成に寄与する革新的な解析技術の開発等、C) 精神・神経疾患患者および健常者の脳画像等データリソース統合にもとづく中核拠点霊長類回路マップと疾患研究チーム患者回路情報の連結の3つのグループに大別できる。講演では、Brain/MINDSの計画と展望について議論したい。
【13:55-14:20 4S01-2】
脳マップの作成と活用のための計算技術
銅谷 賢治(沖縄科学技術大学院大学)
「革新脳」のめざす霊長類の脳構造・機能マップの作成による脳機能と疾患の解明には、イメージングやゲノムなどの計測・操作技術だけでなく、先端的な情報技術の開発と活用が不可欠である。本講演では、イメージング等による3次元構造と時系列の大規模データの処理と解析、それらを統合するデータベースの構築、さらにそれを脳機能と疾患に関する知見につなげるための数理モデル化について、革新脳で計画している技術開発の概要について報告する。
特に数理モデル化においては、脳全体での認知行動機能を再現するマクロスコピックモデル、大脳皮質などの神経回路の計算原理を解明するメゾスコピックモデル、それらの細胞と分子機構を明らかにするミクロスコピックモデル、それぞれについて各レベルの大量かつ多様なデータを最大限に生かしたモデル構築手法の開発とともに、異なるレベルのモデルをつなぐ大規模シミュレーションと解析手法の開発が求められる。
モデル構築においては、ベイズ推定の枠組みによる機械学習技術をもとに、神経結合や細胞のパラメタの推定とモデル構造の探索手法の開発が進められている。マルチスケールのモデル統合においては、統計力学的な粗視化手法とともに次元圧縮などの機械学習手法の活用が求められる。これらに関して既存の手法のレビューとともに、新たな開発の現状と課題について報告する。
【14:20-14:45 4S01-3】
遺伝子で導入できる脳解析ツール
宮脇 敦史(理化学研究所 脳科学総合研究センター)
可視光を吸収あるいは放出するタンパク質を使って、脳の構造や機能を解析するためのセンサーやマニピュレーターが開発されてきた。そうしたツールを活用して、遺伝子改変実験動物の脳で起こる現象を深く、広く、細かく、そして速く、長く観る研究の実際を紹介する。また、可視光と相互作用するタンパク質が、「光と生命体との相互作用」を巡る人類の発見から生まれ、それらの生物学的存在意義に関する我々の理解を超えてますます有用になっていく過程を考察してみたい。
【14:45-15:10 4S01-4】
マーモセット脳の2光子イメージングと光操作に向けて
松崎 政紀(基礎生物学研究所 光脳回路研究部門)
近年、2光子顕微鏡の性能向上に加え、カルシウム濃度感受性蛍光タンパク質の開発が進んでおり、個体動物で多数の細胞活動を長期間計測することが可能となってきた。そこで私のグループは革新脳プロジェクトの技術開発個別課題として、マーモセット大脳皮質で多細胞活動の計測が可能な2光子顕微鏡の開発と、2光子イメージングを遂行中に実行可能な高次脳機能課題の開発を行う予定としている。これらの技術開発はこれまでに私たちが確立してきたマウスを用いた実験系の上に成り立っている。私たちはまず、頭部固定マウスにおいて右前肢を使ってレバーを操作すると水が与えられる、というオペラント運動課題を世界に先駆けて構築し、課題遂行中のマウスの大脳皮質運動野第2/3層の2光子カルシウムイメージングを行うことに成功した(Hira et al., 2013)。次にGCaMPをアデノ随伴ウイルス(AAV)によって神経細胞に導入することで、レバー運動学習中2週間という長期にわたって、運動野第2/3層と第5a層の多細胞カルシウムイメージング法、及びAAVが逆行性に取り込まれることを利用した皮質下投射細胞のカルシウムイメージング法を確立し、学習に伴って層ごとに異なる活動変化が起こることを見出した(Masamizu, Tanaka et al., 2014)。さらに、イメージング画像データからリアルタイムに標的細胞のカルシウム蛍光上昇を検出しその直後に水報酬を与えるという、単一細胞オペラント条件付けを確立し、条件付けを始めて15分以内に標的細胞活動が特異的に上昇することを見出した(Hira et al., 2014)。これらの方法論をマーモセットに適用可能とするため、頭部固定下での課題構築を始めるとともに、理研BSI高次脳機能分子解析チーム(山森哲雄チームリーダー)と共同でマーモセット大脳神経細胞の2光子カルシウムイメージング法の確立をめざしている。今回はこれまでのマウスでの実験系や2光子イメージング技術の現況などについてご紹介したい。
【15:10-15:40】総合討論
朝日新聞 (7月12日) 「科学の扉」 で革新脳プロジェクトが紹介されました
「革新脳共催シンポジウム」7月31日(金) プログラムをご覧ください
プレスリリース 「飢餓により誘導されるオートファジーに伴う“細胞内”アミロイドの増加を発見」
東京医科歯科大学・難治疾患研究所/脳統合機能研究センター・神経病理学分野の岡澤均教授の研究グループは生きた脳の中の神経細胞におけるオートファジー
(自己自食)を観察する技術を世界で初めて開発し、アルツハイマー病態におけるオートファジーの新たな役割を解明しました。
成果は、7月14日に国際科学誌Scientific Reports(サイエンティフィック・レポーツ)電子版に掲載されました。
岡野栄之プロジェクトリーダーNeuron誌に総説論文 “Brains, Genes, Primates” を発表
学会英文機関誌 Neuroscience Research から特集号「Marmoset Neuroscience」が刊行されました
革新脳プロジェクトは(平成27年4月1日より)日本医療研究開発機構に移管されました
革新脳プロジェクト パンフレット掲載しました
論文掲載のお知らせ – Brain-mapping projects using the common marmoset
Brain/MINDS ウェブサイト開設